認知症あんしんガイド

認知症の方とのコミュニケーション:心が通い合う関係を築くためのヒント

Tags: コミュニケーション, 家族の関わり, 接し方, 心のケア, 関係構築

はじめに:認知症の診断と、新たなコミュニケーションの形

ご家族が認知症と診断されたとき、これからの生活に対する不安とともに、どのように接すれば良いのか、特にコミュニケーションについて戸惑いを覚える方は少なくありません。以前は当たり前だった会話が難しくなったり、意図が伝わりにくくなったりすると、ご自身を責めてしまったり、すれ違いに悩んだりすることもあるでしょう。

しかし、認知症になっても、その方の「心」や「感情」がなくなるわけではありません。大切なのは、病気による変化を理解し、その方の立場に立って関わろうとする姿勢です。この記事では、認知症の方との心が通い合うコミュニケーションを築くための具体的なヒントと、ご家族が大切にしたい心構えについてご紹介します。

認知症によるコミュニケーションの変化を理解する

認知症の症状は多岐にわたりますが、特にコミュニケーションに影響を及ぼす主な変化は以下の通りです。

これらの変化は、本人の意思や性格が変わったわけではなく、脳の機能の変化によるものです。この理解が、穏やかなコミュニケーションの第一歩となります。

心が通い合うコミュニケーションのための基本原則

認知症の方とのコミュニケーションでは、言葉の内容だけでなく、接し方や態度が非常に重要になります。

1. 相手のペースに合わせる

2. 肯定的な言葉と態度で接する

3. 過去の記憶や感情に寄り添う

4. 非言語コミュニケーションの重要性

具体的な状況別コミュニケーションのヒント

日々の生活の中で起こりやすい特定の状況におけるヒントをご紹介します。

同じ話を繰り返すとき

「またその話?」と指摘したくなる気持ちも分かりますが、本人は初めて話しているつもりであったり、重要なことだと感じていたりします。

何か(入浴、食事など)を拒否するとき

本人が特定の行動を拒否する背景には、何らかの理由があることが多いです。

探し物や妄想があるとき

「財布を盗られた」「誰もいないのに人がいる」といった訴えがあった場合、現実とのずれを修正しようとするのは避けた方が良いでしょう。

コミュニケーションにおける注意点と家族の心構え

まとめ:安心できる関係を築くために

認知症の方とのコミュニケーションは、変化を伴う長い道のりになるかもしれません。しかし、病気によって失われるものがある一方で、その方の持つ個性や感情、そして家族との絆は決して失われるわけではありません。

大切なのは、「病気のせい」と理解し、本人の感情に寄り添い、安心感を提供することです。ご紹介したヒントを参考に、ご家族と認知症の方が、お互いに心が通い合う穏やかな関係を築いていけるよう、少しずつでも実践してみてください。

もし困難を感じた場合は、無理をせず、専門家や支援機関に頼ることをためらわないでください。「認知症あんしんガイド」は、ご家族の皆様が安心して前向きに進んでいけるよう、これからも寄り添ってまいります。